オギの備忘録

やあ、私の名はオギだ。何かを発信したかった。ブログを開設した理由はそれだけで十分さ。

俺の過去を振り返る(浪人編)

久しぶりの過去回想編です。今回は浪人編。

前回、前々回の記事はこちら。

ogichangs-thinking.hatenablog.com

ogichangs-thinking.hatenablog.com

 

[目次]

 

前説

 

「それで? これから1年頑張れるのか?」

「……やるしかないでしょうよ」

 2017年3月下旬。予備校の説明会の後、私は父と共にラーメンを啜っていた。

 

 以前の記事にも書いたように、私は出願した大学全てに不合格だった。所謂「全落ち」ってヤツだ。それもそうだろう。高校3年間碌に勉強をしていない状態で周りと同じような大学を目指すこと自体が無謀なのだから。


 入れる大学がないとなると、考えうる選択肢は2つ。就職と浪人(自衛隊と言う選択肢もないことはないが)。前者はとても考えられなかった。就職のツテがあるわけでもない。そもそも高卒で就職するにしても、もっと早い段階から企業にアプローチをかけなければいけない。ならば実質的な選択肢は1つ。1年間の浪人と引き換えに4年間のモラトリアムを手に入れることだった。
 浪人と言っても、自宅で勉強を継続する「宅浪」という選択肢があるが、これは私の性格と今までの行いを考えて論外。というわけで、予備校の説明会に参加したというわけである。


駿台予備学校 池袋校

 

俺が出てった瞬間リニューアルしやがった

 そんなわけで、2017年4月から駿台予備学校池袋校に通い始めた(正確には3月あたりに開催された基礎講座みたいなものから参加していたような……)。予備校は高校の近くにもあったが、浪人生を受け持つ予備校で立地がよいとなると、自然と池袋に行かざるを得ないのだ。

 ところで予備校決めだが、駿台か河合のどちらに入るかで悩んでいた。最終的に駿台予備校に入学することになるのだが、正直駿台に決めた経緯を覚えていない。確か、私の出身高校の学生は入学金が無料になるからだったような、そんな気がする。


 正直に言おう。この時の私は、自分の将来にかなり無頓着だった。「これから1年間勉強漬けの生活をする」という実感もなかった。周りに流されるままに予備校に入って適当に1年を過ごして、大学に合格してモラトリアム期間を延ばせればいいとしか思っていなかった。それどころか、「来年また全落ちしたら死ねばいいや」とまで思っていた。自分の将来どころか、自分の人生すらも些事であると考えていた。

 

前期

 

 こうして駿台予備校(以降「駿台」)での生活が始まった。駿台は4月~7月の前期、9月~12月の後期の2期制である。この期間は高校と同じように、9時から7,8コマ(1コマ50分)の授業が開かれる。駿台オリジナルのテキストを使って高校3年間の復習をひたすらする、と言った感じだ。


 自分で言うのもなんだが、前期はかなり頑張ったと思う。慣れない片道約1時間の(比較的)を長距離通学をこなし、授業にはほぼ全部参加した。
 特に頑張ったのは「倫理」の勉強である。私は高校時代は「地理」を選択していた。しかし、精神を病んでいたとき(当社比)に哲学に触れ、倫理に興味を持った。そして、浪人が確定した瞬間から参考書を購入して、独学で倫理の勉強を始めた。ろくに勉強していない地理よりも、興味をもって勉強を続けられる倫理を勉強した方が結果が出ると思ったからだ。
 一応、予備校でも週1で倫理の授業はあった。しかし、参加者は自分を含め3人くらいだし、学習のペースも合わなかった。だから、倫理に関してはゼロベースから実質独学で対策した。

 

 だがそんな感じで「頑張った」とは言っても、頑張ったのは所詮予備校の中だけでの話である。


 予備校に通ったところで勉強大好き人間になれるわけでもなく。家ではほとんど勉強をしなかった。浪人生にとって一番差が付くのは「自習時間」であるにも関わらず、家では相変わらずゲームや動画を見て適当に過ごしていた。 
 また、池袋は誘惑が多い。予備校の反対側にはサンシャイン60通り乙女ロードサンシャインシティ……。放課後はそっちの方に遊びに行くことも珍しくなかった。

 私の駿台での前期はこんな感じだった。「予備校に通っている」という事実に満足している状況。この時の私は、「合法的に池袋に遊びに行ける」とでも思っていたのだろう。

 

後期

 

 後期も変わらず、平日は50×7,8コマの講義をこなすだけ。ところが10月頃、私は重要なことに気が付く。

 

「あれ? このまま授業に出ても意味ないんじゃないか?」

 

 当たり前だが、予備校の授業は「受験生時代に頑張って受験勉強したけれど志望校に落ちた学生」を対象に授業をしている。つまり「受験生時代にろくに勉強をしてこなかった」私が予備校の授業を受けても身にならないのである。寧ろ私に必要なのは、教科書レベルの内容を完璧にすることであった。


 それともう一つ気が付いたこと。

 

「最悪センター試験の勉強だけしていれば何とかなるんじゃね?」

 

 国公立の試験を突破するためには、センター試験と二次試験の両方で十分な点数を取る必要がある。特に二次試験は記述式、かつ大学によって色合いが異なってくるので難しい。ところが私立はどうだろうか?私立には「センター利用」という入試方式がある。つまり、センター試験(の一部科目)で十分な点数を取れば、そのまま大学に合格できるのだ。
 また、もしセンター利用に通らなくても、センター試験で培った知識は国公立二次、私立一般入試に応用ができる。基礎が不十分な私にとっては、国公立二次試験を意識した予備校の授業よりも、センター試験の過去問を黙々と解いた方が効果的なのだ。


 それに気付いた後の行動は早かった。今まで出席していたほぼ全ての授業をサボって、自習室でセンター試験の過去問を解く日々が始まった(倫理の授業だけは気に入っていたので、それ以外の授業全てをサボった)。まあ、この行動に関してはコース担任から質問されることもあったが……。
 実際、この選択は正しかった。ひたすらセンター試験の過去問を解き続けることで、問題の傾向を掴むことが出来たり、基礎知識を叩きこむことができた。特に数学・倫理に関しては段々と分かってくるようになった(科目の好き嫌いで進度にバラつきはあったが)。

 しかし、この生活は長くは続かなかった。授業に出ないことによって、勉強の開始時間に融通が利くようになってしまったため、予備校に到着する時間が10時とか11時になった。
 駿台予備校では、生徒の入退室をICカードで管理している。この情報は親にも共有される可能性があった。そのため、予備校に行くのが面倒くさくても、予備校に行ってカードをタッチするしかなかった。だが、それすらもどうでもいいと思うようになった。


 そうして吹っ切れた俺は、


①昼頃に登校。予備校で昼飯を食ってから勉強
②自宅で昼飯を食べてから登校。13,14時あたりから予備校で勉強
③そもそも予備校に行かずに近くの図書館で勉強
④予備校をサボって遊びに行く


といった感じなことを気分によってローテーションしていた。 挙句の果てには「今後に役立つ」という建前のもと、図書館でプログラミングの本を見つけて読みだす始末。だが、全てが無駄というわけでもなかったように思う。

 

そこそこ足を運んでいた豊島区中央図書館

受験直前期


 10月頃からセンター試験対策1本で絞ってきたおかげか、現役のときと比べて成績がかなり上がった。倫理は浪人してから勉強し始めたにも関わらず80点台をマーク(これは内心誇りに思っている)。だが、国語や理科が爆死したせいで「浪人した割には点数が伸びてない」という微妙な結果で終わってしまった。

 

 センター試験終了後の駿台は、2月上旬まで「集中講座」といった2日1セット(事前申込制、別料金)の講座を行っている。私も一応いくつかの講座に申し込みをしたが、一部講座は丸々サボった。参加してもどうしようもないと思ったのだ。
 2月中旬からは特に授業もなく、各々の試験日に向けての自習期間になる。私は国公立2校、私立2校(記憶が曖昧)に出願した。しかし、ものの見事に全落ちした。国公立はセンター試験の点数不足と二次試験対策不足のせいで落ちた。私立の方、特に片方の方は過去問に多少手を付けていたが落ちた。


 結局、浪人してもこの程度だったのだ。いくら時間があっても、気概と基礎学力がなければ同じ未来を往くのだ。
 しかし、去年と違う点が1つ。センター利用で出願していた大学に受かっていたのだ(のちに進学を決め、最終学歴になる大学)。だが、それだけだった。1年間の浪人の結果、センター利用が1校だけ。それも、私の出身校から考えると偏差値の低い大学であった。


最後に


 流石に2浪するとなると精神が参って本当に自殺してしまいそうなので、消極的に唯一受かった大学に進学することにした。これにて、永遠にも思えた浪人の1年間が終了したのである。
 正直に言うと、私はこの1年(2017年4月~2018年2月)までのことを鮮明に思い出すことができない。それほどに空虚な1年だったのかもしれないし、記憶から消し去りたい1年なのかもしれない。あの1年は実はなかったのではないかと錯覚することすらある。
 だが、あの浪人を得て良かったと思うこともある。科目としての「倫理」を十分に学ぶことができたこと。それなりに色々な経験を積むことができたこと。結果として新型コロナウイルスと就活のタイミングをずらすことができたこと。あとは……。あれ、思ったよりメリットが無いな……。
 
 私がこの1年をどう思おうが、あの時間をなかったことには出来ない。私に出来ることは、「浪人の1年間は無駄ではなかった」と無理に思い込みながら生きていくことだろう。

 

 次回、大学編へと続く……。

 

p.s. 「俺の過去を振り返る」シリーズは全3部作と言ったな。あれは嘘だ。