オギの備忘録

やあ、私の名はオギだ。何かを発信したかった。ブログを開設した理由はそれだけで十分さ。

青木ヶ原樹海を散歩してたら自殺志願者に間違えられた話

 私事ですが、3/3~3/5の3日間で山梨の方に一人旅をしていました。幼稚園時代を過ごした山梨を再び訪れたいと思ったことが大きな理由です。

 幼稚園生の当時は世界が広く見えたものですが、大人になってから当時の生活圏を散歩してみると、いかに自分が狭い世界で生きていたかがよく分かりました。平日はほぼ幼稚園と自宅の往復……みたいな生活でも、退屈した毎日を過ごしていたという記憶はあまりないです。当時は毎日が充実していたということでしょうか?

 旅行ではほったらかし温泉忍野八海などの観光名所を訪れました。事前に組み立てたスケジュールを元に、一人で自由気ままに旅をするというのは楽しいですね。夏あたりにまたやりたいところ。

 ですが、一歩間違えていれば、日常生活に戻ることができなかった可能性があったかもしれません……。

 

 

 

 

 

 2023年3月3日(旅行1日目)の昼過ぎ。富岳風穴の観光を終えた私は、青木ヶ原樹海を少し散歩してみようと思った。元々時間調整用の追加観光地として青木ヶ原樹海のことはメモしていた。

 

 

「ザ・樹海」と言うべきか。踏み固められた通路以外には、360度どこを見ても「樹」しかない。普通に歩く分にはとても神秘的な場所だと思う。

 だが、青木ヶ原樹海は「自殺の名所」としても有名である。それを強く実感したのは、樹海を歩き始めて2,3分経ったときだった。

 

 前方から2人組のおじいさんが歩いてきた。ふと「こんにちは」と声を掛けられた。

まあ、登山やハイキング中に人から挨拶されることは珍しくない。「こんにちは」と挨拶を交わして先に進んだ。すると数分後、先ほどのおじいさんたちが追いかけてくるではないか。

 

「ちょっとすいません」

 

 正直この一言で察した。そうか、俺は傍から見たら自殺者みたいな顔をしているのか……。

「いやぁね、いきなり呼び止めてごめんね。ほら、知っていると思うけどココって自殺しちゃう人が多いからさ。お兄さんみたいに1人でここ歩いてる人は、そういう可能性があるからさ」

↑(大体こんな感じだった)

 

 どうやらおじいさん達は自殺予防のためのボランティアの人らしい。最初に呼び止められたときは驚いたが、よくよく考えたら私は陰キャで根暗だ。おじいさんたちに悪気はない。

 少し話したあと、荷物チェックをされた。

「バッグの中に縄とかが入っていると流石に話が変わってくるからね」

 なるほど、樹海自殺のトレンドは首吊りなのか。これは勉強になったかもしれない。

 私は今回、観光のために樹海を訪れている。当然縄やナイフや薬などは持ち得ていない。

 荷物チェックが終わった後、私は2人に、樹海を少し歩いたら車に戻ると告げた。荷物に危険物がないこと、私が車で来ていることを確認した2人は、「通路から道を外れないように」と忠告してこの場を去った。少々サプライズではあったが、私はもう少し樹海を散歩してみることにした。

 

 

 樹海の奥は静まり返っていた。周囲の木々が音を吸収してしまうからだ。ふと周りを見渡す。入口付近より生い茂っている木々。なるほど、通路から道を外れたらその先は「死」あるのみだと思った。

 通路の上で樹海の静謐さを感じている分には、非日常感があってとても良かった。だが、通路から道を外れた瞬間、樹海の静謐さは悪魔の囁きへと変貌する。そんなことを思ったら怖くなってしまったので、来た道を引き返すことにした。

 

 

 

 

 私には自殺願望がある。そいつとは高校3年生から実に数年間の付き合いである。それでも恥をさらしながら今まで生きてきたわけだが、所詮自傷行為に手を出したことがまだないだけである。

 だが、人生の最期は既に頭の中で思い描いている。青木ヶ原樹海の中で自殺することだ。樹海の中で誰にも見つからず、ゆっくりとした時間を樹海の中で過ごし、やがて力尽きる(かなり理想論ではあるが……)。

 今回の旅で青木ヶ原樹海を観光地候補に選んだのは、いわば「自殺場所の下見」だ。とは言っても実行は大分先になると思うが……。そんな矢先に「声掛け」にあったわけである。それはもうビックリした。

 今回の一件で、死ぬことが少し怖くなった(情けない話ではあるが)。自分の自殺プラン通りだと、あの静寂の中を1人で何日も過ごすことになるのだ。今の精神状態だと耐えられない可能性がある。何より、樹海を彷徨っているうちに死体とかに出くわすのが多分一番怖い。まあ、自分が臆病なだけなんですけどね。

 だが、今後樹海で自殺をするに当たって、今回の経験は勉強になったと思う。樹海の奥地に入るまで人と出会わないようにすることが一番大事だということが分かった。

 この経験を生かすときは遠い先の話になると思うが……、人生に深く絶望するその時までは、このことは少し忘れておきたい。堪能しきれていない娯楽が多すぎるのだ。